辺の長さと角の大きさが、どれも等しい多角形を正多角形といいます。次の問いに答えなさい。
(1)
次の図のように、1辺の長さが等しい正八角形と正三角形があります。いま正八角形の「辺あ」と正三角形の「辺ア」が重なっていて、正三角形が正八角形の内側を左回りに辺が重なるように転がっていきます。
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1回だけ転がすと図の「辺い」と「辺イ」が重なります。また、最初の「辺あ」と「辺ア」の重なりは、重なっている回数には数えないことにします。
① 正三角形を8回転がすと正八角形の内側を1周して元の位置に戻りますが、「辺ア」は正八角形の辺と何回重なりましたか。
② 「辺ア」が正八角形のすべての辺と重なるには、正八角形の内側を最低何周しますか。
(2)
(1)と同じように正七角形の内側で正方形を転がすとき、正方形の1つの辺「辺ア」が正七角形の辺すべてと重なるには正七角形の内側を最低何周しますか。
(3)
(1)と同じように正210角形の内側で、ある正多角形を何回か転がすと正多角形の1つの辺「辺ア」が正210角形の辺とすべて重なるとき、辺の数が最も少ないものは正何角形ですか。
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(1)の①
正三角形が「辺あ」から左回りに1周するとき、正八角形と重なる辺は次の図のように「イ→ウ→ア」の順番の繰り返しになります。
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8÷3=2余り2なので、正三角形は正八角形の内側で「イ→ウ→ア」の順を2回繰り返して転がった後、最後に「イ→ウ」と転がって最初の位置に戻ります。
したがって、辺アは正八角形の内側と2回重なりました。
(1)の②
正三角形は「イ→ウ→ア」の順に正八角形の内側をコロコロと転がり続けるので、辺アが正八角形の辺と重なるのは3回に1回であることが分かります。
また、8と3の最小公倍数は24なので、正三角形がコロコロと24回転がったとき、スタートのときと同じ図に戻ります。
辺アが3回に1回のペースで正八角形の辺と重なるとき、8本の辺すべてに重なるには正三角形が3×8=24回転がればOKです。
正八角形の内部を8回転がると1周するので、24回転がったときは24÷8=3周になります。
【補足】
「そんな風に文章と式だけで説明されてもよく分からん」という場合は、次の図を①から④の順に見てなんとなくイメージしてお楽しみください。
上の図の青くて太い線は、正三角形の辺アが正八角形の辺と重なったところを表しています。
8と3の最小公倍数は24なので、24÷8=3周するまでは辺アが同じ場所と重ならないことがポイントです。
(2)
正七角形の内部を正方形が次の図のようにコロコロと転がっていくとき、正方形の辺は「イ→ウ→エ→ア」の順に正七角形の辺と接していきます。
つまり、正方形の辺アは4回に1回の割合で正七角形の辺と接するので、7本の辺すべてと接するためには、正七角形の内部を4×7=28回コロコロと転がればOKです。
正七角形の内部を7回コロコロと転がればちょうど1周するので、28回コロコロと転がったときは28÷7=4周しています。
※ 28は7と4の最小公倍数であることがポイントです。さっきの問題では8と3の最小公倍数である24回コロコロと転がればOKでしたね。
(3)
例えば正三角形が正210角形の内部をコロコロと転がる場合、3と210の最小公倍数は210なので、210回コロコロと転がったゴール地点は次の図のようにスタート地点と同じになります。
すると、2周目も辺アは1周目と同じ辺に重なるので、上の図で辺イやウが重なった辺に、辺アが重なることは永遠にありません。
「じゃあ正方形ならいけるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、210と4の最小公倍数は420、420÷210=2なので、正方形が正210角形の内部をコロコロと2周したときのゴール地点がスタート地点と同じになってしまいます。
その場合、辺アが1周目と2周目に重なった場所は違うのですが、3周目に重なる辺は1周目と同じになり、4周目に重なる辺は2周目と同じになるため、最初の2周で辺アが重ならなかった辺は、その後に何周しても永遠に重なることはありません。
このまま「正五角形は?」とか「正六角形は?」と探していけばそのうち見つかるとは思うのですが、それだと時間がかかり過ぎて困るので、(1)と(2)で分かったことを参考にして答えを見つけてみます。
さっきの2つの問題で、
・正八角形の内部を正三角形が転がる場合→転がる回数は8と3の最小公倍数である24回
・正七角形の内部を正方形が転がる場合→転がる回数は7と4の最小公倍数である28回
となることが分かりました。
つまり、正210角形の内部を正□角形が転がるときも、210と□の最小公倍数が「210×□」となる場合を見つければOKなので、次の連除法の図の△にあてはまる最小の数を考えてみます。
上の図の△に1があてはまれば、210と□の最小公倍数は1×210×□=210×□となるので条件を満たします。
そこで、上の図の□に数をあてはめて、△=1となる場合を探してみると・・・
・□に2の倍数をあてはめる→△には2があてはまるので×
・□に3の倍数をあてはめる→△には3があてはまるので×
・□に5の倍数をあてはめる→△には5があてはまるので×
・□に7の倍数をあてはめる→△には7があてはまるので×
となるので、1から10までの整数はすべてアウトになります。
でも、上の図の□に11をあてはめたときは、△に1があてはまるので、最小公倍数は1×210×11=2310となり、問題文の条件を満たします。
以上から、条件を満たす最小の正多角形は正11角形になります。
※ つまり、正210角形の内部を正11角形がコロコロと2310回転がったとき、辺アが正210角形のすべての辺と接します。
また、2310回目に転がったときの辺アの場所は、スタート地点と同じになります。
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